政治・経済

オースティンは1980年代まではテキサス州の州都として連邦政府機関が経済の中心でした。また州立の学費でアイビーリーグと同等の教育が受けられるパブリックアイビーかつ全米最大規模の大学と言われ、5万人の学生を擁するテキサス大学オースティン校があり、政府関係者、ビジネスマン、研究者や弁護士、ミュージシャンなど様々な人々のライフスタイルを許容してきました。こうした背景から、オースティンは保守的なテキサス州の中で例外的なリベラルな街となり、留学生にも非常に住みやすい都市となっています。実際にオースティンは、全米の大都市の中で最も住みやすい都市のランキングで頻繁に上位選出されています。

 

その後、シリコンバレーの成功例を全米に広げようというCloning Silicon Valley政策のもと、テキサス大学を中心としたハイテク産業の集積地が計画的に築かれました。その後もIT産業やスタートアップ企業群に支えられた経済のもと、人口は年々増加の傾向にあり、目覚ましい経済成長を遂げています。郊外を含め、周辺は丘陵地が多いため、シリコンバレーに肖ってシリコンヒルズとも呼ばれています。自然発生的なシリコンバレーに対して、政策のもとで計画的に築きあげられたオースティンのハイテク集積地モデルは、日本でもクラスター戦略のモデルとして研究対象となっています。

 

現在は100万人以上のメトロポリタンエリアを構成する大型都市の中では人口増加率全米第2位、ベンチャースタートアップに最適な都市全米8(CNN 2009)、サブプライムローンの影響からの回復率1(Pustka 2010)という数字が示す通り、成長著しい都市であり、アメリカにおいてスタートアップを目指す起業家にとっては魅力ある都市として捉えられています。